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国際女性デー2016.03.07

ロシアにおける3月8日の国際女性デーについてご紹介したいと思います。

日本人の方にとってはあまり聞きなれない祝日であると思いますが、この日は国際的な祝日です。

私がモスクワに来て初めての3月8日、街のスーパーで買い物をすると男性店員さんからおめでとうと言われたり、通りですれ違った男性にもおめでとうと声をかけられ、一体何に対してのおめでとうなのか全くわからなかった事を覚えています。

モスクワのレストランで働いている友人の料理人によると、3月8日が1年の中で一番大忙しの日らしく、家族の場合でも未婚の人同士の場合でもドレスアップした女性と共に店を訪れ外食を楽しむお客さん達が後をたたないようです。それ位ロシア人にとってこの祝日は年内の重要な祝日トップ3に入る程大切な位置づけとなっています。

そもそも国際婦人デーの起源となった出来事は1857年3月8日、ニューヨークの縫製工場で働いていた女性が大変な仕事の内容、それに対しての賃金の安さ、男性と同じ程度に賃金を上げる事等を理由に起こしたストライキです。

その後、アメリカ、西ヨーロッパで男性と同等の権利を得る為の女性差別反対の運動が起こり、1908年には15000人の女性が “女性差別反対”、“男性と同等の権利を” というスローガンを掲げた旗を持ちニューヨークの通りを歩いたようです。これを受けてドイツの社会主義者・フェミニストであるクララ・ツェトキン (1857-1933) が3月8日を国際女性デーにする事を提唱したのがこの祝日の始まりと言われています。

ロシアでは上記の出来事に加え、グレゴリオ暦上の1917年2月23日 (現在のユリウス暦では1917年3月8日) にペトログラード (現在のサンクト ペテルブルグ) で二月革命が勃発。女性労働者を中心にパンや小麦配給に対しての不満からデモが行われ、その後規模は拡大し、最終的にはロマノフ王朝による帝政を崩壊に導いたとされ、3月8日は政治的、革命的な記念の日になっています。

ソビエト連邦時代1965年までこの日は記念日ではあっても休日ではありませんでしたが、この年以降3月8日は国の休日に制定され、女性の日々の仕事や家事に対して感謝する日として現在まで続いています。

ちなみに女性に感謝を述べるという意味で同じなのは母の日ですね。ロシアにおいて母の日は11月の最終日曜日となっています。驚く事に国の休日として制定されたのは1998年、国際女性デーに比べると遥かに新しい祝日です。母の日が母を始め妊娠中の女性を敬う休日なのに対し、国際女性デーは全ての女性に対しての祝日なので、その規模から言ってもロシア人的に圧倒的にお祝いムードが大きいのは国際女性デーなのです。

現在の3月8日の祝い方としては元々の政治的な記念日としての意図はほぼ消え、女性を敬う日、日々の感謝、美に対しての感謝を述べる日としての祝い方の方が大きくなっているように思います。

どちらかというと日本風のバレンタインデーの祝い方に近い様な気もします。男性は周りにいる女性、例えば既婚であれば妻や娘、未婚でも母や恋人、職場の女性など全ての女性におめでとうを言いプレゼントを渡します。女性同士でも同じく日々の感謝と共にプレゼントを渡し合ったり、SNS上でも女性に対してコメントしたり絵や写真を投稿したりと、多方面でお祝いされます。

一番オーソドックスなプレゼントは花を始めチョコレートなど。ちなみにロシアでは花束の場合、10本までは奇数の本数で花をプレゼントするのが縁起が良いとされています (理由は後述します)。前日の3月7日は街中の花屋さんには花を買い求める男性が集まり、当日8日には通りで花を持った人達で溢れます。最近は花以外にもプレゼント購買意欲を狙う傾向にあり、女性服や化粧品などを売るお店でも3月8日の日に向けてセールをする所もあり、集客数を伸ばそうとしているお店も増えてきたように思います。

さて、ロシアでは全ての女性が一番輝く日、3月8日。国際的な祝日ですから、日本の皆さんも女性をお祝いしてみてはいかがでしょうか。

ミニ情報:
ロシアでは人にお花をプレゼントする場合の本数について諸説あるそうですが、よく知られているのが、1本は故人に、もう一本は神への花という意味でお葬式やお墓に偶数の本数で花を供える習慣があるそうです。なので、普段のプレゼントは偶数ではなく奇数が縁起が良いそうです。いつかロシアの人に花束をプレゼントする際は奇数の数をプレゼントすると良いでしょう。